研究課題
1.シロイヌナズナの膜脂質生合成変異体pah1pah2を用いたリン欠乏および窒素欠乏ストレス応答メカニズムの解析リン欠乏時の膜脂質転換を欠損した変異体pah1pah2では、リン欠乏時に著しい生育阻害とクロロフィル分解がみられるが、培地中に窒素を過剰投与すると、野生株並みの表現型をあらわすことが前年度までに分かっていた。そこで、平成27年度では、野生株、変異体をリン欠乏と同時に窒素過剰投与した際の表現型比較をおこなった。その結果、いずれにおいても、リン欠乏時の膜脂質転換に関わる遺伝子の発現量が、窒素過剰投与により通常生育時の発現量と同じ程度であること、またその際の植物体中の遊離のリン酸濃度は、培地中にリン酸が含まれないにもかかわらず、高いことがわかった。2.リンおよび窒素欠乏に関わる新規因子の探索・同定とその機能解析pah1pah2変異体は、通常生育条件下では野生株と見分けがつかないが、リン欠乏生育下では顕著に生育が遅れることがわかっている。また、窒素欠乏時の生育阻害も、野生株と比べて著しい。そこで、シロイヌナズナpah1pah2変異体種子に変異原処理し、リン欠乏時および窒素欠乏時の生育が野生株同様に戻る個体のスクリーニングを行った。平成27年度では一次スクリーニングをリン欠乏または窒素欠乏培地で行っており、それぞれいくつか候補植物体が得られたので、平成28年度以降、候補個体の絞り込みおよび変異箇所の同定を行う予定である。
2: おおむね順調に進展している
予算の都合で、当初計画していたRNA seq法による網羅的遺伝子発現解析は見送っているが、その他の研究項目については順調に進展しているため。
1.シロイヌナズナの膜脂質生合成変異体pah1pah2を用いたリン欠乏および窒素欠乏ストレス応答メカニズムの解析すでに、リン欠乏時の窒素過剰投与の際に植物体内のリン酸濃度が上昇するメカニズムについてはいくつか仮説を立てているので、今後はそれらについての検証を続ける。2.リンおよび窒素欠乏に関わる新規因子の探索・同定とその機能解析リン欠乏、窒素欠乏それぞれ単独の一次スクリーニングの場合、それぞれの培地からの吸収に関わる因子が多くとれてくる可能性が高いため、それぞれ双方の条件において二次スクリーニングを平成28年度以降行う予定である。
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