3種類の土壌に施用した重窒素標識堆肥の埋設過程における窒素の挙動および堆肥施用土壌から逐次抽出した有機態窒素のアミノ酸組成の変化を観察した。土壌に施用された堆肥由来窒素は施用当初は減少するが約1年後には各逐次抽出物の割合が一定となり、定常状態となる。分子量が数万Da以上の堆肥由来の有機物は、水酸化アルミニウムや粘土鉱物との複合体として蓄積すると考えられる。蓄積した有機態窒素のアミノ酸組成は、微生物遺体と類似しており、塩基性アミノ酸含量が多い。一方で、分子量が小さな易分解性の有機物は塩基性アミノ酸含量が少ない。塩基性アミノ酸含量は、土壌有機物への微生物遺体の寄与率の指標になると考えられる。
|