研究実績の概要 |
Roseobacter denitrificans OCh114株は嫌気条件下において、硝酸イオンなどの窒素酸化物を代替電子受容体とした硝酸呼吸(脱窒)により生育する。一般的に、脱窒関連酵素は低酸素から嫌気条件下において発現するが、OCh114 株は好気-明条件で脱窒関連酵素である亜硝酸還元酵素(NIR)の活性が上がる事が知られている。本年度は本菌の脱窒関連遺伝子が環境変化に伴いどのような発現パターンを示すのかを明らかにするために、好気、微好気及び嫌気脱窒の各条件における明、暗両条件の脱窒関連遺伝子の発現プロファイルを比較した。 微好気-暗及び嫌気脱窒-暗条件における脱窒関連の硝酸還元酵素(NAR)、NIR、一酸化窒素還元酵素(NOR)、亜酸化窒素還元酵素(N2OR)をコードする遺伝子の発現パターンを比較したところ、嫌気脱窒条件においてNAR, NIR, NOR, N2OR全ての構造遺伝子が高レベルで発現していた。また、それらの中でもNIR遺伝子が最も高レベルで発現していた。なお、微好気条件下においても各構造遺伝子は、好気条件と比較して約2~5倍の発現上昇を示した。 好気/微好気/嫌気脱窒の各条件において光照射の影響を見るために、各培養条件における明/暗条件の発現レベルを比較したところ、微好気/嫌気脱窒条件においては、光照射による各遺伝子発現レベルの変化は見られなかったが、好気条件では光照射により NIR, NOR, N2ORの遺伝子発現レベルが上がっていた。NAR遺伝子の発現には変化は見られなかった。
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