研究実績の概要 |
II型の膜貫通型のマンノース転移酵素であるMnt2, Mnt3のゴルジ体局在の機構は不明である.ERからの搬出アダプターの候補遺伝子の多重破壊株の解析より,それら破壊した遺伝子の中にMnt2, Mnt3のERからの搬出を促進する分子が含まれることを推測させる知見を前年度までに得ていた.その知見を元にアダプターの検索を再度詳細に行ったところ,他の複数のマンノース転移酵素のERからの搬出アダプターであるSvp26がMnt2, Mnt3の搬出を促進している可能性を示唆するデータを得た.具体的には,まずショ糖密度勾配遠心により,Mnt2, Mnt3はsvp26遺伝子欠損株においてゴルジ体画分から,ER画分へシフトすることを見出した.HAタグでは,不明な理由により関節蛍光体法による局在の変化が検出されなかったため,sGFP2との融合タンパクを発現したところ,低コピーベクターで発現した場合も,多コピーベクターで発現した場合でも svp26遺伝子欠損株においてMnt2, Mnt3はリング状のER局在を示した.またCOPII budding assayを行い,Mnt2とMnt3のCOPII小胞への積み込み効率を比較した.野生株とsvp26欠損株のER膜の間で,コントロールとなるカーゴの積み込み効率が全く影響を受けなかったのに対して,Mnt2, Mnt3の積み込み効率はsvp26欠損株から取得した膜を使った系で顕著に低下していた.共免疫沈降実験を行ったところ,ER搬出がSvp26非依存であるMnn1との共免疫沈降が全く見られない条件下において,Mnt2, Mnt3はSvp26と再現性良く共免疫沈降した.これらの結果により,Svp26が,Mnt2, Mnt3のERからの搬出のアダプターであることが強く示唆された.
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