我々は、ビオチン要求性微生物であるコリネ型細菌に異種細菌のbioFとbioIを導入することでビオチン要求性を解除でき、ビオチンを微量分泌するようになることを見出している。このビオチン生産菌を宿主とする脂肪酸経路の代謝工学で、ビオチンのデノボ合成に脂肪酸代謝が重要な役割を果たしていることを示した。この菌株でビオチンの前駆体ピメロイル-CoA直下の反応を遮断すると、糖からピメリン酸の分泌が起こること、さらに、脂肪酸代謝の増進がピメリン酸増産にも反映することを示した。以上の結果は、ビオチンの源流が脂肪酸合成経路であり、同経路からビオチン経路への炭素流束を、ピメリン酸を指標に評価できることを示す。
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