研究実績の概要 |
大腸菌は、アセチルスペルミジン排出トランスポーターを持つと予想し、大腸菌の遺伝子ノックアウトライブラリーの「efflux, export, amine transport, amino acid transport」のキーワードに合致した159株を10 mMのスペルミジンを添加したM9-0.5%グルコース培地で培養し、菌体外のアセチルスペルミジン濃度が低下した14株について検討を加えたが、アセチルスペルミジン排出にクリティカルなトランスポーターを見いだせなかった。この研究過程でSapBCDFが大腸菌のプトレッシンエキスポーターであることを見いだし、報告した。 一方、大腸菌にはこれまでにアセチルスペルミジンオキシダーゼ活性が報告されていなかった。プトレッシンの生合成欠損株を高濃度のスペルミジンを添加し、かつプトレッシンを含まない培地で培養すれば、PotABCDが培地から取り込んだスペルミジンはSpeGの働きでアセチルスペルミジンとなり、アセチルスペルミジンオキシダーゼが存在するなら、プトレッシンができてくるはずであるので、菌体の内外を問わずプトレッシンが検出できればアセチルスペルミジンオキシダーゼの存在を示すことができると考え実験を行ったが、プトレッシンを検出することはできなかった。 この理由として、アセチルスペルミジンオキシダーゼによって生成したプトレッシンが、大腸菌に存在するプトレッシン異化経路によって分解されてしまうかもしれないと考えた。そこで、プトレッシン生合成の欠失に加えて、2種類あるプトレッシン異化経路の最初の酵素であるPuuAとPatAの遺伝子をノックアウトした株を作成し、高濃度のスペルミジンを添加し、かつプトレッシンを含まない培地で培養したが、プトレッシンを検出できなかった。
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