研究課題
コエンザイムQ10(CoQ10、ユビキノン10)は、ミトコンドリアにおける電子伝達機能の他に、脂溶性抗酸化物質としての新たな機能が注目されている物質である。分裂酵母は、ヒトと同じCoQ10を合成し、CoQ合成酵素遺伝子破壊株の生育にはシステイン(Cys)やグルタチオンなどの抗酸化物質の添加が必要であることや、CoQがsulfide-quinone oxidoreductase(Hmt2)を介してsulfideの酸化代謝に関与していることが示唆されている。分裂酵母CoQ欠損株やシステイン合成酵素遺伝子の破壊株を用いて酸化ストレスを与えたときの細胞内の活性酸素種(ROS)の量の測定を行ったところ、特にシステイン合成酵素遺伝子の破壊株において細胞内のROS量が顕著に増加していることが示唆されるデータを得た。そこで、分裂酵母のCoQ欠損株と種々の遺伝子破壊株を用いて,酸化ストレス感受性とROSの発生を比較した。分裂酵母Cys合成酵素遺伝子(cys1a)破壊株では、過酸化水素やパラコートに対して強い感受性を示し、特にパラコートで処理した時に細胞内のROSが顕著に増加していた。一方、グルタチオン合成に関与するgcs1の破壊株では,CoQ欠損株よりも過酸化水素に対して強い感受性を示しROSの発生も確認できたが、パラコート処理では感受性を示すもののROSの増加は観察されなかった。また、様々な酸化ストレス感受性株を用いて、細胞内の還元型CoQ10の抽出溶媒の検討、抽出条件の検討を行い、野生株と比較して還元型CoQ10の比率が変動していることが示唆された株があった。
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Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry
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BIO INDUSTRY
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