研究課題/領域番号 |
15K07382
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
富田 武郎 東京大学, 生物生産工学研究センター, 助教 (50447364)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | アミノ酸代謝 / トリプトファン生合成 / 活性調節 / 結晶構造解析 / タンパク質間相互作用 |
研究実績の概要 |
SraA (Stand-alone RAM domain protein A)は、ロイシン応答性の転写因子であるLRP (Leucine-responsive regulatory protein)のアミノ酸結合ドメイン(RAMドメイン)のみからなるタンパク質である。高度好熱菌Thermus thermophilusにおいてタグを融合したSraAを用いたプルダウンアッセイを行った結果、TrpD(トリプトファン生合成2番目の酵素)が同定されていた。今年度、TrpDの活性に与えるSraAの影響を組換えタンパク質を用いて解析した結果、SraAのみの存在下では活性に大きな影響を及ぼさないのに対し、SraA/トリプトファンの共存下でTrpDの活性が半分程度まで阻害されることがわかった。このことからRAMドメインタンパク質であるSraAを介してトリプトファン生合成の調節が行われるという新規なアミノ酸代謝の調節機構が存在することが示された。また、TrpD/SraA/トリプトファン複合体やSraA/トリプトファン複合体の結晶化スクリーニングの結果、トリプトファン存在下でのSraAの結晶化に成功し、最大で3-4 Å分解能の回折像を得ている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画であったSraAを介したTrpDの活性調節機構が存在することを試験管内の実験において示すことができた。また、TrpD/SraA/トリプトファンの複合体の結晶構造解析には行ったっていないものの、SraA/トリプトファン複合体と期待される結晶を得ることに成功している。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、SraA/トリプトファン複合体やTrpD/SraA/トリプトファン複合体の結晶構造解析を行い、トリプトファンの認識機構やトリプトファンの結合によるTrpDの活性調節機構の解明を目指す。また、従来知られている酵素・転写レベルでのトリプトファン生合成の調節の有無を調べ、それらと比較することによりSraAによるトリプトファン生合成の細胞内での意義を探る予定である。
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