研究課題/領域番号 |
15K07387
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
河井 重幸 京都大学, 農学研究科, 助教 (00303909)
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研究分担者 |
村田 幸作 摂南大学, 理工学部, 教授 (90142299)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | NADキナーゼ / 翻訳後修飾 / NADP+ / NAD+ / リン酸化 / 出芽酵母 |
研究実績の概要 |
NADキナーゼ (NADK) はNADP+の合成酵素であり、ヒト細胞では細胞質局在型NADKとミトコンドリア (Mit) 局在型NADK (応募者が特定; Nature Commun. 2012) が機能しているが、両NADKの細胞内における機能制御の仕組みはよく分かっていない。一方、プロテオミクス解析により両NADKの多数の翻訳後修飾 (リン酸化、アセチル化、ユビキチン化など) 部位が明らかになっている。 ヒトの両NADKの機能制御の仕組みを明らかにするため、当該年度研究では、昨年度進捗状況を踏まえて、細胞質局在型NADK (cytNADK) のSer-64(他のグループによりCaMKII依存的にリン酸化されることが報告済み)のリン酸化が他のタンパク質との相互作用を可能にし、その相互作用がCytNADK活性が活性化されるという作業仮説をたて、本仮説の検証を先ず試みた。Ser-64をAsp残基に置換したcytNADKを作成し、ヒトHEK293A細胞に導入後、免疫沈降実験により相互作用するタンパク質の検出を試みたが、検出には至らなかった。 昨年度の状況も鑑みるとヒト細胞の系での進捗状況が悪いため、同じく真核細胞である出芽酵母Saccharomyces cerevisiaeを用いた研究を進めることにした。即ち、出芽酵母のcytNADK (Utr1, Yef1) ならびにmitNADK (Pos5) 各々のC末端側にTAPタグの導入された株を用いて、様々な培養条件における各NADKのリン酸化をPhos-tagシステムで検出することを試みたところ、ある条件におけるリン酸化を検出することに成功した。リン酸化部位を特定するために、プラスミド上にクローニングされたUTR1とPOS5の3’側にTAPタグを導入したプラスミドを構築した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ヒト細胞における両NADKのリン酸化を検出することが出来なかったため、その先に進むことが出来なかった。また、他の業務にエフォートを割かざるを得ない状況も多く、本課題に対するエフォートが少なくなりがちであった。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの進捗を踏まえ、研究材料(生物)を出芽酵母に切り替え、両NADKのリン酸化部位の特定し、そのリン酸化の両NADK活性への影響を明らかにすると共に、そのリン酸化の両NADKと他のタンパク質との相互作用様式への影響も明らかにする。また、両NADKのリン酸化を行うNADKキナーゼも特定する。
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次年度使用額が生じた理由 |
ヒト細胞における両NADKのリン酸化を検出することが出来なかったことに起因する研究の遅延ならびに本課題に対するエフォートが少なくなってしまったことが原因である。学会発表も少なかった。
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次年度使用額の使用計画 |
今後は、研究材料(生物)を出芽酵母に切り替え、両NADKのリン酸化部位の特定し、そのリン酸化の両NADK活性への影響を明らかにすると共に、そのリン酸化の両NADKと他のタンパク質との相互作用様式への影響も明らかにする。また、両NADKのリン酸化を行うNADKキナーゼも特定する。これらの研究実施に使用する。エフォートの確保に努め、学会発表も積極的に行う。
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