研究課題
平成29年度は、Amesテストで変異原性が検出される化学物質(ベンゼン、硫酸ジエチル、抱水クロラール、酸化プロピレン)あるいは検出されない化学物質(無水酢酸、メタンスルホン酸)100 ppb存在下でNIH3T3細胞株を4世代培養し、ゲノムDNAを抽出し、PCRを行い、増幅産物を温度勾配ゲル電気泳動に供した。化学物質添加による特徴点の変化を求めたところ、大腸菌を用いた場合とよく相関した。このことから、GPMA法に任意の哺乳動物細胞が使用可能であることが示唆された。CRISPR/Cas9システムを用いて、RNase H2を欠損したマウス胎児由来NIH3T3細胞株(KO株)を樹立した。野生株およびKO株の細胞溶解液について、RNase H2のAサブニットに対する抗体を用いてウェスタンブロット解析を行ったところ、KO株ではAサブユニットが検出されなかった。1個のリボヌクレオチドを含む12 bpの二本鎖DNAを基質として、細胞溶解液のRNase H2活性を測定したところ、KO株では活性が検出されなかった。両株から抽出したゲノムDNAをアルカリアガロースゲル電気泳動に供したところ、KO株のゲノムDNAは野生株のそれよりも低分子側に移動したことから、RNase H2の欠損によりゲノムにリボヌクレオチドが蓄積されていることが示唆された。ヒトRNase H2と基質との複合体の立体構造モデルにおいて、基質の切断される結合の5’側ヌクレオチドの糖の部分にVal143が近接していた。Val143をTrp、Phe、Lys、Argに置換した変異体を作製し、1塩基のリボヌクレオチドを含む18 bpの二本鎖DNA(1R)および18 bpのRNA/DNAハイブリッド(18R)に対する加水分解活性を測定した。V143W、V143F、V143K、V143Rの1R分解活性は野生型(WT)の24%、13%、0.16%、0.05%であり、18R分解活性はWTの5.0%、6.7%、0.03%、0.03%であった。このことから、V143Wは、WTに比べて18Rより1Rを好むように基質特異性が変化したことが示された。
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