研究実績の概要 |
これまでの研究において,Penicillium multicolorが生産するp-Nitrophenyl β-D-glucopyranoside (pNPG) 分解酵素として2種類の精製酵素を得ていたが,それらとは異なる基質特異性を示すpNPG分解酵素を本菌株の酵素製剤中に存在することを明らかにし、その酵素を、各種クロマトグラフィーで電気泳動的に単一にまで精製した。精製酵素のN末端アミノ酸配列分析の結果から,本酵素はこれまでに報告のあるGH5に属するβ-ジグリコシダーゼであると判明した。続いて,本酵素の基質特異性を精査したところ,加水分解反応においてはβ-グルコオリゴ糖よりも芳香族配糖体であるpNPGに高い分解活性を示し,L-アスコルビン酸を糖受容体とした糖転移反応においてはpNPGよりもセロビオースを糖供与体としたときの方が高い糖転移活性を示すことが明らかになった。 また,集積培養及び涵養培養によりβ-N-acetylglucosaminidase (GlcNAcase)に対して阻害活性を示すpNP-trimethylglucosaminium (pNP-TMG)を炭素源として資化する菌を数十株土壌や下水等から取得した。また同時に, p-Nitrophenyl N-acetyl-β-D-glucosaminide (pNP-GlcNAc) 資化性菌も単離した。これら菌株を培養し、それぞれの株の分解活性を調べたところ,pNP-GlcNAc資化性菌においては、強いpNP-GlcNAc分解活性を示す菌株が存在した。pNP-TMG資化性菌の中には菌体内にpNP-TMG分解活性有する菌株が存在し,同時にpNP-GlcNAc加水分解活性を菌体内に有していた。
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