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2015 年度 実施状況報告書

高度好塩菌由来2-デオキシリボース-5-リン酸アルドラーゼの機能・構造解析と応用

研究課題

研究課題/領域番号 15K07395
研究機関香川大学

研究代表者

櫻庭 春彦  香川大学, 農学部, 教授 (90205823)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード2-デオキシリボース-5-リン酸アルドラーゼ / Haloarcula japonica / 高度好塩菌 / archaea / アルデヒド / 抗高脂血症剤 / アルドラーゼ / X線結晶構造解析
研究実績の概要

2-デオキシリボース-5-リン酸アルドラーゼ(DERA)は、多様なアルデヒド分子間の縮合反応を触媒するため、抗高脂血症剤などのビルディングブロック合成への利用が期待される。しかし通常微生物由来の酵素は基質のアルデヒドで失活するなど、その不安定性から実用化は達成されていない。一方高度好塩菌の酵素は、アセトアルデヒド等の有機溶媒様物質の存在下でも安定で高活性を示すことが期待できる。本研究開始時に、高度好塩菌Haloarcula japonica 由来のDERA遺伝子を大腸菌で発現させ、活性型リコンビナント酵素を取得することに成功している。平成27年度は(1)精製方法の確立、(2)機能解析、(3)X線結晶構造解析、を主要な目的とした。以下にそれぞれの実績を示す。
(1)2 MのNaCl存在下で大腸菌を破砕し、塩存在下で精製した場合、不活性型酵素が大量に生じることが判明した。そこで、NaCl非存在下で大腸菌を破砕、精製を行った。その後2 M NaClに対して透析すると、不活性型の生成が抑制された。さらに、塩存在下でゲル濾過を行い、高回収率の精製方法を確立した。
(2)精製酵素を用いて、酵素化学的性質を明らかにした。また、本酵素が有機溶媒に高い耐性を持つことを明らかにした。平成29年度の計画として、産業利用を想定して25℃、300 mMアセトアルデヒド存在下での安定性検討を予定していたが、これを前倒しして評価した。その結果、大腸菌DERAに比べ、極めて高い安定性を示すことが判明した。また超好熱菌由来DERAに比べると、25℃における活性は非常に高いことが明らかとなった。
(3)精製酵素の結晶化条件をスクリーニングしたが、現時点で良好な結晶は得られていない。H. japonica以外の他の複数の高度好塩菌DERAホモログ遺伝子のクローニングを行っており、これらについて結晶化条件をスクリーニングする予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

NaCl非存在下で精製を行い、高濃度塩処理を用いて活性型酵素への変換に成功し、高純度精製を達成した。精製酵素はアセトアルデヒドに対して極めて高い安定性を示した。本研究は、高度好塩菌DERAを解析した初めての例であり、高度好塩菌DERAの有用性を示すことができた。これらの成果をまとめ、本酵素の特許出願を行った(特願2016-049393「アルドラーゼおよびその用途」、2016/3/14)。また、精製方法と性質についてまとめ、国際誌Protein Expression and Purificationに投稿した(under revision)。

今後の研究の推進方策

(1)ゲノム情報に基づき、DERAのホモログをHalomicrobium mukohataeiやHalorhabdus utahensisなどの高度好塩菌に見出している。これらをコードする遺伝子をPCRで増幅後、大腸菌における発現系を構築する。H. japonica DERAと同様の手法で活性型リコンビナント酵素を取得し、精製を行う。
(2)(1)で取得した酵素について、基質特異性、反応のカイネティクス、最適pH、最適温度、温度安定性、pH安定性などの機能解析を行う。また、各種有機溶剤耐性、長期保存性、長時間反応性を調べる。また、結晶化条件をスクリーニングし、得られた結晶を用いて、X線結晶構造解析を行う。

次年度使用額が生じた理由

フラクションコレクターにおいて想定外の修理費が必要になり、予定していた学会出席を取りやめたため次年度繰越金が生じた。

次年度使用額の使用計画

交付予定が1,100,000円であるため、遺伝子組換え用試薬、酵素活性測定用試薬、タンパク質結晶化用試薬として1,000,000円 + 繰越金額、出張旅費100,000円を予定している。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2016 2015

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (3件) 産業財産権 (1件)

  • [雑誌論文] Crystal Structures of a Hyperthermophilic Archaeal Homoserine Dehydrogenase Suggest a Novel Cofactor Binding Mode for Oxidoreductases2015

    • 著者名/発表者名
      Junji Hayashi, Shota Inoue, Kwang Kim, Kazunari Yoneda, Yutaka Kawarabayashi, Toshihisa Ohshima, and Haruhiko Sakuraba
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: 5 ページ: 11674

    • DOI

      10.1038/srep11674

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Identification of a novel amino acid racemase from a hyperthermophilic archaeon Pyrococcus horikoshii OT-3 induced by D-amino acids2015

    • 著者名/発表者名
      Ryushi Kawakami, Taketo Ohmori, Haruhiko Sakuraba, Toshihisa Ohshima
    • 雑誌名

      Amino Acids

      巻: 47 ページ: 1579-1587

    • DOI

      10.1007/s00726-015-2001-6

    • 査読あり
  • [雑誌論文] A novel NAD(P)H-dependent carbonyl reductase specifically expressed in the thyroidectomized chicken fatty liver: catalytic properties and crystal structure2015

    • 著者名/発表者名
      Yudai Fukuda, Takeki Sone, Haruhiko Sakuraba, Tomohiro Araki, Toshihisa Ohshima, Takeshi Shibata, Kazunari Yoneda
    • 雑誌名

      FEBS Journal

      巻: 282 ページ: 3918-3928

    • DOI

      10.1111/febs.13385

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Dye-linked D-amino acid dehydrogenases: biochemical characteristics and applications in biotechnology2015

    • 著者名/発表者名
      Takenori Satomura, Haruhiko Sakuraba, Shin-ichiro Suye, Toshihisa Ohshima
    • 雑誌名

      Applied Microbiology and Biotechnology

      巻: 99 ページ: 9337-9347

    • DOI

      10.1007/s00253-015-6944-z

    • 査読あり
  • [学会発表] Thermostable NADP-dependent D-amino acid dehydrogenase created by site-directed mutation: characteristics and application2015

    • 著者名/発表者名
      Toshihisa Ohshima, Hironaga Akita, Katsumi Doi, Haruhiko Sakuraba
    • 学会等名
      18th Japanese-German Workshop Enzyme Technology
    • 発表場所
      京都
    • 年月日
      2015-09-14 – 2015-09-15
  • [学会発表] 超好熱ア-キア由来NAD(P)依存性 L-セリン 3-脱水素酵素の分子特性2015

    • 著者名/発表者名
      米田一成, 櫻庭春彦, 荒木朋洋, 大島敏久
    • 学会等名
      日本ビタミン学会第67回大会
    • 発表場所
      奈良
    • 年月日
      2015-06-05 – 2015-06-06
  • [学会発表] 超好熱アーキア由来ホモセリンデヒドロゲナーゼが示す新奇な補酵素結合様式2015

    • 著者名/発表者名
      櫻庭春彦, 林 順司, 井上翔太, 大島敏久
    • 学会等名
      ビタミンB研究委員会 第440回研究協議会
    • 発表場所
      奈良
    • 年月日
      2015-06-04 – 2015-06-04
  • [産業財産権] アルドラーゼおよびその用途2016

    • 発明者名
      櫻庭春彦、大志田達也、大島敏久
    • 権利者名
      櫻庭春彦、大志田達也、大島敏久
    • 産業財産権種類
      特許
    • 産業財産権番号
      2016-049393
    • 出願年月日
      2016-03-14

URL: 

公開日: 2017-01-06  

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