2-デオキシリボース-5-リン酸アルドラーゼ(DERA)は、多様なアルデヒド分子間の縮合反応を触媒するため、抗高脂血症剤などのビルディングブロック合成への利用が期待される。しかし通常微生物由来の酵素は基質のアルデヒドで失活するなど、その不安定性から実用化は達成されていない。一方高度好塩菌の酵素は、アセトアルデヒド等の有機溶媒様物質の存在下でも安定で高活性を示すことが期待できる。我々は、高度好塩菌Haloarcula japonica 由来のDERA遺伝子を大腸菌で発現させ、活性型リコンビナント酵素を取得することに成功している。このH. japonica DERAの精製方法を確立し、機能解析に成功した。本研究は、精製が困難な高度好塩菌由来の酵素の中でDERAの精製法を確立し、その性質を解析した初めての例であり、大腸菌DERAに比べ極めて高い安定性を示すこと、超好熱菌由来DERAに比べると25℃における活性は非常に高いなど高度好塩菌DERAの有用性を示すことができた。最終年度実施の概要を以下に示す。(1)各種高度好塩菌のDERAの中でHaloterrigena turkmenica DERAが特に発現と酵素活性が良好であったためH. japonica DERAと同様の手法で精製を行い、酵素の大量取得に成功した。(2)酵素溶液中に含まれるNaClをNDSB-195 (非界面活性型スルホベタイン)に置換し、結晶化スクリーニングを行い結晶化に成功した。(3)得られた結晶を高エネルギー加速器研究機構のビームラインを用いてX線回折実験を行った。しかし、分解能が6Åの反射データであったことから、構造解析には至っていない。現在、これを種結晶として結晶化条件の精密化を行い、構造解析に適した結晶の作製を進めている。
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