研究実績の概要 |
本年度は、ビフィズス菌Bifidobacterium adolescentis JCM1275株が有する植物糖タンパク質糖鎖分解酵素群のうち、シグナルペプチドを持たない菌体内酵素としてⅡ型アラビノガラクタン糖鎖(Ⅱ型AG)由来のオリゴ糖に作用すると予想された糖質分解酵素(GH)ファミリー127に属す β-L-arabinofuranosidase候補 (BAD_1529)のクローニングとその諸性質の解析を中心に研究を行った。大腸菌で発現させた組換えBAD_1529タンパク質は、pNP-β-L-arabinofuranoside (Araf)に作用したことから、β-L-arabinofuranosidaseであることが確認できた。また、β1,2-,β1,3-,β1,5-Araf構造を持つオリゴ糖からL-アラビノースの遊離が確認できた。このため、広い基質特異性を持つ酵素であることが明らかになった。 また、B. longumとB. adolescentisとの共生関係を明らかにするため、Ⅱ型AG由来のオリゴ糖であるβ-arabinopyranosyl (Arap)-1,3-L-arabinose (Arapβ1,3-Ara)を用いたB. adolescentis JCM1275, JCM7046, JCM15918の資化性試験を行った。その結果、今回用いたB. adolescentis株ではArapβ1,3-Araの資化性を確認することができなかったため、B. adolescentisがⅡ型AG由来のオリゴ糖を利用する明確な証拠を得ることはできなかった。しかし、B. adolescentisが様々なL-アラビノース分解酵素を持っていることから、菌体内に取り込まれたオリゴ糖に修飾されたL-アラビノースを除去するアクセサリー酵素として機能すると予想される。
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