研究代表者らはこれまでにゴール形成昆虫が植物ホルモンの1種であるオーキシンを自ら合成し,高濃度に体内に保有していることを明らかにしていた。また,昆虫における独自の生合成経路を提唱し,それに対する阻害剤の取得も行った。本研究では,阻害剤を用いたオーキシン生合成のゴール形成への関与の立証,生合成経路の再検討,生合成酵素の同定を行った。その結果,昆虫体液に阻害剤の作用をキャンセルする物質が含まれており,個体レベルでオーキシン生産を抑えることが困難なこと,生成速度と代謝速度の差から生合成中間体が蓄積しない理由,主要な変換を担う生合成酵素などを明らかにした。
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