研究課題/領域番号 |
15K07406
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
繁森 英幸 筑波大学, 生命環境系, 教授 (70202108)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 光屈性 / 重力屈性 / オーキシン極性移動 / Bruinsma-Hasegawa説 / 屈性制御物質 |
研究実績の概要 |
植物の具備する屈性現象については、これまで「オ-キシンが上側から下側へ移動(重力屈性)または光側から影側に移動(光屈性)することによって屈曲する」というCholodny-Went 説によって説明されてきた。しかしながら近年、「オ-キシンの横移動は全く起こらず、光側組織で成長抑制物質が生成され光側組織の成長が抑制される結果、光方向に屈曲する」という新しい光屈性の仮説 (Bruinsma-Hasegawa説)が提唱され、重力屈性についても同様に成長抑制物質が関与することが示唆された。当研究室のこれまでの研究において、光受容体による光屈性刺激の感受から光屈性制御物質の生成経路、光屈性制御物質の化学構造や光屈性に伴う動態について明らかにしてきた。一方で、重力屈性制御物質も見出してきた。そこで本研究では、光側(上側)組織で生成された光(重力)屈性制御物質が最終的に細胞伸長を抑制するまでの機序を分子及び細胞レベルから解明することを目的に研究を行った。まずダイコン芽生えの光屈性制御物質であるMTBIとraphanusaninについてThiolaneを出発原料として短行程でこれらの化合物の全合成を行うことに成功した。また、これらの化合物を用いて光屈性制御活性(屈曲活性試験、Tissue print法、リグニン化試験、セクションテスト)を行い、顕著な活性を有することを見出した。さらにこれらの化合物の合成中間体を用いて構造活性相関を行い、活性に重要な構造部位を特定した。一方で、トウモロコシ芽生えを用いて重力屈性制御物質の探索を行い、Benzoxazinoid化合物であるDIMBOAやMBOAを見出した。これらの化合物を用いて重力屈性制御活性(屈曲活性試験、Tissue print法、リグニン化試験、セクションテスト)を調べた結果、これらの化合物に顕著な活性があることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していたダイコン芽生えの光屈性制御物質であるMTBIとRaphanusaninの全合成に成功した。また、これらに顕著な光屈性制御活性のあることを見出した。一方で、トウモロコシ芽生えを用いて重力屈性制御物質の探索を行い、Benzoxazinoid化合物であるDIMBOAやMBOAを見出した。これらの化合物を用いて重力屈性制御活性を調べた結果、これらの化合物に顕著な活性があることを明らかにした。
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今後の研究の推進方策 |
全合成で得られたダイコン芽生えの光屈性制御物質であるMTBIとRaphanusaninならびにトウモロコシ芽生えの光・重力屈性制御物質であるDIMBOAとMBOAの植物体内での分布や局在を蛍光プローブ法やイメージングMS法で調べていく予定である。
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