研究実績の概要 |
ユーフォルビア科植物から,アオサンゴ(別名ミルクブッシュ,Euphorbia tirucalli)とハナキリン(Euphorbia milli)の地上部で 発現するmRNAの網羅的解析を次世代シーケンサにて行い,得られたデータのトリミング処理,de novoアッセンブル処理,ORF予測,予 測アミノ酸配列への変換処理を行い,両植物サンプルからおよそ4万程度の配列をそれぞれ得た。これらのアミノ酸配列をswissprotデ ータベースからBLASTP検索,HMMERによる活性部位などのモチーフ相同性解析などから(ジ)テルペン環化酵素遺伝子候補をアオサン ゴから5種(EtDTCL-1,-2,-3,-4,-5とそれぞれ命名),ハナキリンから11種(EmDTCL-11,-12,-13,-14,-15,-16,-21,-22,-23,-24-25と 命名)を選抜した。これらのうち,TargetP検索で葉緑体移行シグナルを持つことが示唆されたのは,アオサンゴからはEtDTCL-1.-2,- 4の3種類,ハナキリンではEmDTCL-15,-22,-23,-23の4種であった。これらの遺伝子について大腸菌による組換えタンパク質生産を試みた。 アオサンゴから得られたEtDTC1は,機能解析の結果ent-CDPを基質とする単機能型ent-カウレン合成酵素(EtKS)と判明した。EtDTC4およびEtDTC-5に関しては大腸菌による組換えタンパク質生産が困難であり、他の宿主ーベクター系で生産を試みる必要が生じた。 ハナキリンより得られたEmDTCL-15および EmDTCL-23では,組換えタンパク質生産が不安定であり,酵素生成物の大量生産が困難であった。EmDTCL-24についてent-CDPから新たな化合物が検出され,完全C-13標識体の合成からNMR測定を行い、カウレン骨格でもピマラジエン骨格でもない構造未知のジテルペン化合物である可能性が示された
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