研究課題
27年度に達成できなかったマナマコ由来ガングリオシドの全合成を行なった。天然由来ガングリオシドを用いた研究で、糖鎖部分におけるシアル酸残基数の活性発現への効果が示されており、1分子中にシアル酸を3残基する当該分子は、生理活性の面から非常に興味深い。また、構造的には、ガラクトースのO-3,4位という隣接した水酸基にシアル酸が結合しており、糖鎖合成化学上、最も難易度の高い分子である。申請者は、最初に導入したシアル酸の立体配座を変換することにより、2残基のシアル酸の導入が容易になることを見出しており(2014、日本農芸化学大会発表)、その知見に基づいて全合成に挑戦した。7糖骨格を非還元末端3糖、還元末端側3糖、グルコシルセラミドのユニットに分けて合成を進めた。非還元末端3糖は、上述の方法を用いることにより、高収率で合成することができ。得られた3糖と還元現末端側3糖を92パーセントの高収率で縮合して6糖に導いた。当研究室で確立されている方法でグルコシルセラミドを合成し、6糖と縮合することにより目的とするガングリオシドの保護体に導いた。脱保護にも成功して、目的化合物の全合成を達成した。
2: おおむね順調に進展している
27年度にできなかったSJGー2の全合成を達成した。
残された標的である、ウミシダ由来ガングリオシドの合成を進める。
僅かな残金が残った。
翌年度分と合わせて使用する。
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Chem. Eur. J.
巻: 22 ページ: 8323 - 8331
10.1002/chem.201600970