研究課題/領域番号 |
15K07410
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
安立 昌篤 名古屋大学, 生命農学研究科, 助教 (80432251)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 有機化学 / 合成化学 / 天然物化学 |
研究実績の概要 |
本研究では、ラジカル反応を鍵反応として特異な多環性骨格を効率的に合成し、生理活性の詳細が明らかにされていない希少天然有機化合物の化学合成を目的としている。具体的には、植物寄生性農害虫であるジャガイモシスト線虫の孵化機構において重要な因子であり、高度に歪んだシクロブタン骨格を含むソラノエクレピンAの合成研究を行う。特に、右側部分はシクロブタンを含むトリシクロ[5.2.1.01,6]デカン構造からなり、生理活性発現に必須であると考えられている。しかし、トリシクロ[5.2.1.01,6]デカンは連続する不斉四級炭素を含み高度に歪んだシクロブタンから構成されるため、その効率的な合成法の確立が最も重要な課題となる。この研究は、官能基化されたシクロブタンを持つ多環性天然物にも適用可能なラジカル環化によるシクロブタン合成法を確立する同時に、ソラノエクレピンAの特異なシクロブタン構造と活性発現の関係を明らかにするための基盤を形成する。 平成27年度は、全合成に向けてF環上に酸素官能基を導入したアルデヒドをラジカル環化前駆体として、右セグメントであるシクロブタンを含むトリシクロ[5.2.1.01,6]デカン骨格の構築法の確立を検討した。その際、以前の検討より見出したSmI2を用いた4-exo-trig型ラジカル共役付加反応を応用した。Hajos-Parrishケトンを出発原料として、ニトリル基の立体選択的な導入とエポキシドの開環を経てF環上に酸素官能基を導入したアルデヒドを合成した。次に、この環化前駆体に対してSmI2を作用させたところ、ラジカル共役付加による環化反応が速やかに進行して、高度に官能基化されたトリシクロデカンを合成することに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ソラノエクレピンAの全合成には、F環上の水酸基の導入されたトリシクロ[5.2.1.01,6]デカンの合成が不可欠であった。今回の検討によって、SmI2を用いた4-exo-trig型ラジカル共役付加反応が期待通り進行し、高度に官能基化されたトリシクロデカンの合成法を確立した。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は、橋頭位のラジカルを利用した側鎖の導入によって、ソラノエクレピンの右セグメント合成を計画している。すなはち、トリシクロデカンの三級水酸基をキサンテートに変換した後、ラジカル還元剤によって反応性が高い橋頭位ラジカルを発生させることで、Keckアリル化反応あるいはラジカル共役付加反応による不斉四級炭素の構築を伴ったシクロプロパンを含む側鎖導入を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
モデル化合物を利用して橋頭位のラジカルによる側鎖の導入も成功しているが、シクロブタンを含むトリシクロ[5.2.1.01,6]デカンへの側鎖導入の最適条件化が不十分あることが原因である。
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次年度使用額の使用計画 |
反応条件の最適化するため、高価な遷移金属試薬などの購入を計画して還元剤や溶媒の種類などを精査する。
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