研究課題/領域番号 |
15K07416
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研究機関 | 京都府立大学 |
研究代表者 |
倉持 幸司 京都府立大学, 生命環境科学研究科(系), 准教授 (90408708)
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研究分担者 |
水品 善之 信州大学, 農学部, 教授 (20307705) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ラクタム / 天然物 / 全合成 |
研究実績の概要 |
【ラクタム類の合成】 三環性の γ-ラクタム天然物 rubrobramide はマウス白血病細胞に対する細胞毒性を有する。この化合物の相対立体配置はすでに決定されているが、絶対立体配置は未決定である。一方、δ-ラクタム天然物 flavipucine は抗菌活性をもつ。また、その骨格転位体として、isoflavipucine という天然物も単離されている。本年度、我々は、独自に開発した Darzens 反応を利用し、(±)-rubrobramide、(±)-flavipucine、isoflavipucine の三つの天然物の効率的な合成法の開発に成功した。また rubrobramide の光学分割に成功し、両エナンチオマーを得ることができた。さらに光学分割したrubrobramide の絶対立体配置を振動円二色性(VCD)励起子キラリティー法により決定することにも成功した。 【キノン二量体類の合成】 Juglocombin A/B や juglorescein は放線菌から単離された天然物である。これら天然物の構造は平面構造のみが報告されており、相対及び絶対立体配置は不明のままであった。我々は o-キノンメチド中間体を経たキノン二量化反応を開発し、その反応を骨格形成の鍵反応として利用して、juglocombin A/B の安定誘導体と juglorescein の全合成に成功した。さらにこれら化合物の合成を通じて、未決定であったこれら化合物群の絶対立体配置を確定することに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
ラクタム天然物 rubrobramide、キノン二量体天然物 juglocombin A/Bや juglorescein の世界初の全合成を達成した。また我々の全合成によって、これら天然物の絶対立体配置を決定することができた。
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今後の研究の推進方策 |
本研究で確立した合成法は、多くの関連天然物や誘導体合成にも適応可能である。次年度は、それら天然物やその誘導体の合成と生物活性の探索を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究が当初の予想以上に潤滑に進んだために、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度の研究成果に基づき、次年度はさらに数多くの化合物の合成が期待できる。本予算を、合成や生物活性の測定に必要な試薬や器具の購入に充てる予定である。
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