今後の研究の推進方策 |
初年度実施予定であった絶食ラットに投与量を変えてロイシンを経口投与し、タンパク質合成活性の指標であるS6K1および4E-BP1のリン酸化の用量反応曲線の変曲点から、筋肉タイプごとのロイシンの最小有効量を求めて、感受性の相違を評価する実験を最初に行う。また、初年度に開始予定であった遅筋と速筋におけるロイシンの「細胞内への取り込み」「感知」の相違の明確化を目指した実験に早急に着手する。「細胞内への取り込み」については、ロイシンの細胞内への輸送に関わる大型中性アミノ酸輸送体(LAT1, LAT2)のmRNA量の絶食時の量とロイシン経口投与にともなう量の変化を調べ、遅筋と速筋の細胞内へのロイシン取り込み能の違いを評価する。「感知」については、ロイシンのセンサー分子と考えられているleucyl-tRNA synthetase(LRS)およびLRS mRNAを測定し、筋肉間で比較する。さらに、筋線維タイプの特性に関係する遅筋特異的遺伝子(Myl3, Myh7, Tnnt1, Tnni1, Tnnc1, Tpm3 等)、速筋特異的遺伝子(Myl1, Myh4, Myh1, Tnnt2, Tnni2, Tnnc2, Tpm1 等)に注目し、ロイシン刺激によるこれらのmRNA量の変化を筋肉ごとに調べて、遅筋と速筋におけるロイシン刺激の「ターゲット遺伝子」の相違を明確にする。
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