研究課題/領域番号 |
15K07426
|
研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
片山 茂 信州大学, 学術研究院農学系, 准教授 (30443922)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 神経変性疾患 / 配糖体 / Hsp70 / 神経細胞保護効果 |
研究実績の概要 |
本研究では、「生体吸収性に優れたフェノール類配糖体」を酵素合成法により創製し、神経変性疾患予防剤を開発することを目的としている。本年度、得られた研究成果は以下のとおりである:1.SK-N-SH細胞を用いた細胞実験により、フェルラ酸とシナピン酸の配糖体である1-Sinapoyl-2-feruloylgentiobioseがHsp70発現促進効果を有することが明らかになった。Hsp70(Heat shock protein 70)は分子シャペロンとして、細胞内のタンパク質のホメオスタシス(恒常性)維持に寄与している。すなわち、本化合物によるHsp70の発現促進効果は、アミロイドβといったアミロイドジェニックタンパク質や酸化ストレスなどによって引き起こされる細胞死を抑制することが期待される。2.逆反応を利用した酵素合成法により、フェルラ酸およびシナピン酸を骨格とした、グルコース配糖体とルチノース配糖体の合成に成功した。さらに、いずれの化合物も細胞毒性を示さないことを確認した。以上の結果は、フェルラ酸およびシナピン酸の配糖体が神経細胞に対する神経保護作用を有し、神経変性疾患予防への利用が期待できる新たな化合物であることを示唆するものである。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の目的であったフェノール性化合物の配糖体のHsp70発現促進効果を見出したことから、おおむね順調に進展していると判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は高い効果が認められたフェルラ酸およびシナピン酸を骨格とした配糖体を調製し、各種化合物の細胞毒性、細胞透過性、さらには初代培養神経細胞を用いて神経変性保護作用について検討を行っていく。以上の構造活性データを蓄積しながら、リモデリングを重ねて構造最適化を図り、以降は認知障害を起こす老化促進マウスを用いた動物実験により,in vivoでの効果を検証する。
|