研究課題/領域番号 |
15K07436
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研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
熊澤 茂則 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 教授 (10295561)
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研究分担者 |
中村 純 玉川大学, 付置研究所, 教授 (30256002)
細谷 孝博 横浜薬科大学, 薬学部, 講師 (30506572)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | プロポリス / ミツバチ / ブラジル / アルテピリンC / セネガル / スチルベン |
研究実績の概要 |
ミツバチの生産物であるプロポリスは、現在、健康食品等の素材として広く利用されている。プロポリスの原料は樹脂等の植物由来物質であるが、実際の成分組成はミツバチが利用する植物種(起源植物)によって異なる。本研究は、未だ研究が行われていない熱帯および亜熱帯地域で産出されるプロポリスを中心に、その成分や生理機能を解明することを目的としている。本年度は、ブラジル産プロポリスの代表的成分であるアルテピリンCの褐色脂肪細胞化とそのメカニズム解析、およびセネガル産プロポリスに含まれるスチルベン化合物類の抗炎症作用等を中心に研究を進めた。 特にアルテピリンCは、今回、細胞および動物実験において褐色脂肪細胞化を誘導することが見出されたが、そのメカニズムとしては褐色脂肪細胞化に関わる転写調節因子のPRDM16タンパク質の分解抑制が関わることなどが明らかとなった。セネガル産プロポリスに含まれるスチルベン化合物については、マウス由来マクロファージ様細胞を用いて、リポポリサッカライドによる一酸化窒素産生の阻害活性を調べたところ、これまでに抗炎症活性が報告されているプロポリスよりも強い活性を示すことを明らかにした。 その他、プロポリスの生理機能を評価するための新たなアッセイ法の構築も検討した。また、インドネシアを訪問し、現地で生育している独特のハリナシバチが生産するプロポリスの調査を行うとともに、先方の研究者と今後の共同研究内容に関する打合せを実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は、熱帯および亜熱帯産地域を中心とした海外産プロポリスを対象に研究を行うことを目的としているが、「生物多様性条約」における名古屋議定書の関係で海外のプロポリス試料の入手が極めて困難になってきている。2016年度までに入手予定のプロポリス試料も「生物多様性条約」の手続きの遅延により入手できなかったため、計画していた研究のいくつかが実施できなかった。熱帯・亜熱帯地域の国々は開発途上国が多く、「生物多様性条約」に対応する体制自体も十分に整っていないところが多く、今後もますます海外産プロポリス試料の入手が滞ることを危惧している。
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今後の研究の推進方策 |
今後もプロポリスの成分分析と生理機能評価を中心に研究を進める。強い抗炎症効果が明らかになったセネガル産プロポリスについては、そのメカニズムに関する研究を実施する。また、インドネシアなどで生育しているハリナシバチが生産するプロポリスについても研究を進める。
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