研究実績の概要 |
前年度までに、梅酢より調製された「梅ポリフェノール」中にビフィズス菌増殖因子が含まれていることを明らかにした。Bifidobacterium catenulatum, B. pseudocatenulatum, B. angulatumに対して活性のあるポリフェノール配糖体は、HPLCやMS等の分析により、アセチル化ショ糖にフェルラ酸がエステル結合したプルノースの類縁体であることが明らかになり、これら3種のビフィズス菌はフェルラ酸エステラーゼ活性によりアセチル化ショ糖を遊離させ資化していることがわかった。そこで、B. pseudocatenulatumよりゲノムDNAライブラリーを大腸菌中で構築し、pNP-フェルラ酸に対する活性を指標に発現クローニングを試みた。現在、得られたクローンに含まれるDNA挿入断片を解析中である。 B. longum subsp. longumに対しては、多糖画分が増殖促進活性を示した。菌体を多糖画分に作用させると、アラビノースおよび構造未知の3糖が遊離した。後者についてはMS解析をおこなったところ、アラビノース-(メチルグルクロン酸-)ガラクトースと推定されるm/z値が観測された。この構造はアラビノガラクタンの非還元末端に存在することが報告されている。また、アラビノースの遊離に関しては、ゲノム情報から糖質加水分解酵素ファミリー43に属する未解析のBLLJ_1852とBLLJ_1853が、アラビナンに作用してアラビノースを遊離するα1,2/α1,3-アラビノフラノシダーゼとα1,5-アラビノフラノシダーゼであることが組換え酵素の解析により明らかになった。これらを「梅ポリフェノール」に作用させるとアラビノースが遊離した。
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