研究課題
(1)梅ポリフェノールのビフィズス菌増殖効果について、これまでにBALB/cマウスを用いて投与試験を実施したが、このマウスの腸内にはもともとビフィズス菌がおらず影響を評価することができなかった。その後、別施設で飼育されたC57BL/6マウスにはビフィズス菌が生息していることがわかったので、29年度にはC57BL/6マウスへの投与試験を実施した。標準食群、高脂肪食群、高脂肪食+1%梅ポリフェノール群の3群(n=4)に分け、餌を自由摂取させ、5週間飼育した。盲腸内容物の細菌叢をT-RFLP法により解析したところ、標準食群で12.9(SE=1.5)%見られたビフィズス菌は、高脂肪食群で0.1(SE=0.1)%にまで減少した。ところが、梅ポリフェノール群においては0.5(SE=0.1)%とわずかではあるが、有意なビフィズス菌の回復効果が見られた。また、高脂肪食により減少したBacteroidetes門Prevotella属の割合を有意に回復させ、高脂肪食により変化した肥満型の高Firmicutes/Bacteroidetes比フローラを回復させる効果が示された。また、体重増加を有意に抑制し、血中の中性脂肪の上昇も有意に抑制した。以上のとおり、梅ポリフェノールにはビフィズス菌を増殖させるのみならず、抗肥満効果も有する機能性食品素材であることを明らかにした。(2)硫酸化されたGlcNAcを含むムチン糖鎖に作用するビフィズス菌の糖質分解酵素として、初めてBbhIIを同定した。本酵素は以前に、β-N-アセチルグルコサミニダーゼとして報告したものであるが、6位が硫酸化されたβ-GlcNAcに10倍以上よく作用する酵素であった。この発見により、硫酸化されたオリゴ糖もビフィズス菌増殖因子になりうることが明らかになった。
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