研究課題
Fusarium graminearum等の糸状菌は、nivalenol (NIV)等のトリコテセン系カビ毒を生産する。NIVについては、簡易な検出系であるELISA用の抗体が得られないため事実上放置されているが、3,4,15-triacetylnivalenol(3,4,15-triANIV)に対する感度の高い抗体は存在する。そこで、NIVを3,4,15-triANIVに変換する系の構築を考案した。F. graminearumでは、3位、4位、15位のアセチル化をそれぞれTRI101、TRI7、TRI3が担う。ただし、TRI7は非常に不安定な上に異種発現に成功していないという問題点があった。そこでまず、大腸菌による発現でrTRI101とrTRI3を大量生産させた。これらの粗酵素には脱アセチル化酵素の混入が見られたため、精製を行って条件検討を行い、NIVから3,15-diacetylnivalenol (3,15-diANIV)への変換系を構築した。TRI7については、NIV生産菌のMAFF 111233野生株とその遺伝子組換え株から粗酵素を調製した。またTri7遺伝子を持たないdeoxynivalenol生産株のJCM9873に、TEF promoterとTri7を結合した配列を遺伝子導入し、粗酵素を調製した。前者のMAFF111233株由来の菌株を用いた場合、TRI7活性は認められたものの脱アセチル化酵素を除くことが困難であった。それに対し、JCM9873の遺伝子導入株からは高活性のTRI7粗酵素を得られ、その活性が強いため、脱アセチル化酵素の除去を行わずともその影響を受けないことがわかった。現在、NIVを基質として、3,15-diANIVへの変換までは成功しており、そこから3,4,15-triANIVまで一括変換する条件の検討を行っている。
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J. Nat. Prod.
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