研究実績の概要 |
アフラトキシン(AF)は、遺伝毒性を有する化合物であるため耐容摂取量が決められない。たとえ基準値が設定されていても極力摂取をしないことがFAO/WHO により推奨されている。そこで、AFをモデルとして、積極的にヒトへの曝露を抑えるシステマティックな安全性確保手法を新規に開発することを本研究の目的とした。特にAF B1(AFB1)の代謝物で牛乳等の汚染物質となっているAFM1(AFM1)は、牛乳、乳加工品等で摂取する期間が長いため、暴露も多く、発がん性のリスクも高くなる。本研究ではAFM1をモデルとして、たとえ基準値以下の汚染であっても、ヒトへの汚染を最小限に留めるためのシステマティックな安全性確保手法を開発することとした。初年度はAFを超高感度かつ即時に検出するため、特異的かつ高感度にAFM1を認識するモノクローナル抗体の作成を行った。高感度な抗体(#5A7,# 9H10)の作成に成功した。#5A7が最も感度が高く、AFM1が0.07 ng/mLの濃度まで測定可能であった。次年度では、AFM1を吸着させる能力が高いといわれる乳酸菌を、野菜から約100株分離しAFM1の吸着能を比較した。その結果植物から単離されたLactococcus lactisが動物性乳酸菌より多くのAFM1を捕獲することができた。この乳酸菌をデトックス成分として、マウスに摂取させAFB1の吸収阻害が起こるかを実験的に検証、乳酸菌およびAFB1を摂取させた群はAFのみを摂取させた群より、尿へのAFM1の排出はやや低い傾向を示した。 最終年度において、#5A7のオープンサンドイッチELISAの開発を行った。またAFM1を効率よく吸着する乳酸菌に対して、胃内、腸内環境でも結合能をin vitroで検討し、マウスで得られた検体をそのバイオマーカーであるAFB1-lysineの測定料でデトックス効果を検証した。
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