コーヒーやほうじ茶など焙煎加工中に生成する飲料中のアクリルアミド(AA)を分解する麹菌アミダーゼ遺伝子を取得し、麹菌だけの発現ベクターでアミダーゼ高生産のセルフクローニング麹菌を取得している。またアクリル酸分解遺伝子も取得し、アミダーゼとの共発現麹菌も育種済みである。 H27年度は麹菌のセルロース固定化担体での吸着条件を確立し、AA添加水、コーヒーでの複数回の繰り返し低減方法を実用可能レベルまで検討した。アミダーゼとアクリル酸分解遺伝子との共発現株で、アクリル酸の分解は促進できたが、アミダーゼの分解効率はアミダーゼ高生産麹菌と変わらない結果となった。アクリル酸は麹菌には毒物であり効率的な分解が望まれるが、それぞれの酵素の細胞内での局在性が異なることが予想される結果となった。 H28年度は別に開発している脱澱粉小麦フスマ培地(アミラーゼ系酵素が全く生産できない環境であり、分泌経路に余裕が出てくるので菌体内酵素が菌体外にどの程度生産できるか検討に値する)におけるアミダーゼ高生産麹菌のアミダーゼの生産効率を通常のフスマ培地との比較を行い酵素生産性とその酵素剤としての有用性の検討を行い、酵素剤として利用するより、麹菌体処理法が有効方法であることが分かった。 H29年度は麹菌菌体処理方法の繰り返し使用可能な条件検討を行い、有用麹菌での実用レベルの有害物質の除去や有用物質の物質生産における菌体処理方法の確立を目指す。
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