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2017 年度 実施状況報告書

リグニンは落葉の生分解を強く規定するか?

研究課題

研究課題/領域番号 15K07468
研究機関北海道大学

研究代表者

幸田 圭一  北海道大学, 農学研究院, 講師 (80322840)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2019-03-31
キーワードリター / 葉 / リグニン / 微生物 / 生分解
研究実績の概要

前年度後半に採取した葉のサンプルについて、必要な前処理を行ない、リグニンの定量を行なうとともに、一部については葉の分解実験を実施した後、同様にリグニンの定量を行ない、その分解挙動を比較した。まず、前年度までに研究が進んでいたミズナラに加え、カラマツ、シナの葉について、メトキシ基の定量とニトロベンゼン酸化法を組み合わせた新規手法により、リグニンの定量を行なった。その結果、いずれもリグニン含有率は9-12%程度であり、予想よりも低い値であった。続いて、ミズナラとトドマツについては野外での葉の分解実験を行なったが、分解落葉中のリグニンの減少傾向については一定の知見を得ることができた。すなわち、これまでに実施済みのミズナラ(広葉樹)だけでなく、トドマツ(針葉樹)においても、葉全体の重量減少とリグニン含有率の減少傾向とは挙動が類似しており、特にリグニンが他の成分に比べてきわめて難分解性であるとは言えないことが、改めて示唆された。ただし、室内での分解実験については、当初計画の遅れを取り戻すには至っていない。そのため、本研究の実施期間を1ヶ年延長し(既に申請、承認済み)、最大の課題である、落葉の生分解を規定するとされるリグニンの影響について、室内実験で検証することにより、体系的な知見を得る予定である。なお、今年度中にこれまでの研究成果をまとめ、木材・紙パルプ分野関連の国際会議(第19回 International Symposium on Wood, Fiber, Pulping Chemistry, Port Seguro [Brazil], Aug.28-Sep.4, 2017)において、報告している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

これまで、初年度に気候上の理由からサンプリングができなかったことの影響が大きく、派生的な研究課題については一定の結果を出したものの、中心的な課題に対しては、進捗が遅れていたが、H29年度においてミズナラ以外の樹種について野外実験の成果が出るなど、一定の前進があった。全体として、当初課題に対し満足のいく成果を得るには、データ不足を補うだけの時間がなお必要な状態である。

今後の研究の推進方策

申請者らが提案した新規のリグニン定量手法(メトキシ基定量法とニトロベンゼン酸化法との組み合わせによる)により、なお未実施の樹種(カラマツ、シラカンバ)についてもリグニンの性状分析をすすめ、他の分析手法(クラーソン法、アセチルブロミド法など)で得られた結果との比較を行なうことで、より広範な樹種についてもこのリグニン定量法が有効であることを実証する計画である。また、室内における葉の生分解実験により葉の分解残渣中のリグニンの分析を、延長が認められた研究期間内に可能な限り推進し、ミズナラ以外の樹種についてもリグニンが葉の生分解の律速因子であるか否かについて検証を行なう計画である。なお、当初計画していたリグニン由来の低分子分解生成物の追跡については、上記の室内での生分解実験に付随した形で、予備実験の実施まではこの期間内に可能と考えているが、全体を体系的に取りまとめるには時間的に厳しいため、引き続き、継続課題とする予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2017

すべて 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] Measurement of leaf lignin of a Japanese oak tree (Quercus crispula) by a combination of methoxy determination with alkaline nitrobenzene oxidation and its application.2017

    • 著者名/発表者名
      Keiichi Koda, Arata Kawaguchi, Toshizumi Miyamoto, and Yasumitsu Uraki
    • 学会等名
      Proc. 19th International Symposium on Wood, Fiber and Pulping Chemistry 461-466, Aug. 30-Sep. 1, 2017, Porto Seguro, Brazil (Poster Presentation)
    • 国際学会

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公開日: 2018-12-17  

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