植物に傷がつくと活性酸素種やジャスモン酸、エチレンが発生し、防御反応を誘導することが知られている。しかし、植物の二次代謝産物の合成に与える影響はほとんど明らかにされていない。そこで、ヒノキ二次師部のリグニン合成に与える影響を調査した。傷つけ後のジャスモン酸処理はリグニン化の発現位置に影響を与えなかったが、リグニンの生合成速度を促進した。リグニン化の発現位置は細胞壁の変色と密接な関係があり、細胞壁の変色は活性酸素種の発生による可能性が示唆された。以上のことから、ヒノキ二次師部のリグニン化は、活性酸素種とジャスモン酸という異なる特性を持つ2つのシグナルによって誘導・調節されていることが分かった。
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