研究課題/領域番号 |
15K07477
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
加藤 正吾 岐阜大学, 応用生物科学部, 准教授 (20324288)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 半寄生 / ツクバネ / DNAバーコーディング / ホスト選好性 / 光環境 / 風散布 / ZIPモデル |
研究実績の概要 |
昨年度でデータ収集が終了したツブラジイ林(岐阜市金華山)でのツクバネの空間分布に対する光環境の影響について明らかにするため、ZIPモデルを組み込んで解析を行った。解析の結果、直射光が分布に対して正の影響をもつのに対して、散乱光は説明変数として有効でないという結論を得た。
今年度、新たにツクバネのホスト選好性を明らかにするため、ヒノキ・ツブラジイ林調査地(岐阜市石谷)から採取した根を、DNAバーコーディングの手法によらないホスト特定方法の開発を試みた。本調査地でのホスト候補木が、ツブラジイとヒノキのみの場所を選び、根の抽出液の吸収スペクトルの特性が、ホスト樹種2種で異なることを利用して、ホストとホスト候補木の比率の決定を行った。この方法による解析結果では、サンプル数が少ないもののヒノキに選好性があるとの結果を得た。
ツクバネの果実にマーキングし、自然条件での果実散布距離を昨年同様測定したところ、昨年に比べツブラジイ林(岐阜市金華山)では、1mほど平均散布距離が伸び、ツブラジイ・ヒノキ林(岐阜市石谷)では30cmほど短くなった。しかしながら、平均散布距離は、3mを越えておらず、ツクバネ果実の散布距離が非常に短いことが明らかとなった。また、今年度より、ツクバネ果実の散布距離を実験的な方法で確かめる野外散布実験を行った。平坦地や、風が吹き上がる斜面地などの条件で調査を行ったが、その散布距離は、平均で1.0mとなった。森林内のような立木といった障害物がない場合でも、散布距離が非常に制限されていることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ツクバネの空間分布の調査、野外での果実散布距離のデータの収集は順調である。しかしながら、ホスト選好性の調査地が、私有地であり、その一部が伐採されたため、新たな調査データの収集を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
根抽出液によるホスト同定を進め、多数のサンプルの解析を進める。
平成29年度より、ツクバネ果実の散布距離を実験的な方法で確かめる野外散布実験を行っているが、果実が上方へ浮かび上がるような散布をするケースが非常に少ないため、散布実験の場所を改良することで、果実散布の実態をより詳細に明らかにすることを試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
調査地が一部、伐採されることとなり、調査計画に遅れが生じた。
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