UAVは近年、森林・林業の分野においても注目を集めており、空撮画像をSfM(Structure from Motion)ソフトウェアで処理することで、対象物の3次元モデルを作成することができる。航空機LiDARに比べて費用が安く、高頻度なモニタリングが可能であることから、毎年行う必要がある間伐施業評価への利用に適している可能性がある。そこで本研究はUAVの間伐施業評価法への利用可能性を明らかにすることを目的とし、空撮画像から間伐木の抽出が可能かどうか等について検討した。単木検出精度の検証の結果、立木密度と単木検出率との間に負の相関が認められた。また、空撮画像から検出できた立木と検出できなかった立木を比較したところ、検出できなかった立木はDBHが小さい傾向にあった。このことから、空撮画像からの被圧木の検出は困難であり、立木密度が高くなるほど樹木間競争が激しく被圧木が多くなるため単木検出率が低下した可能性が示唆された。また、間伐前後の単木検出結果の比較による間伐木の抽出を試みた結果、単木単位で間伐木の抽出を行うためには、特に間伐前に高精度な単木検出が必要であることがわかった。そのため今回対象としたような間伐遅れ林分においては、間伐前に高精度で単木検出を行うのが難しいため、単木単位での間伐木の抽出も困難であることが示唆された。しかし今後2回目、3回目の間伐が実施される際には、間伐前の立木密度が低下していることが想定されるため、単木単位での間伐木の抽出も可能かもしれない。また、間伐前後のDSMを比較したところ、間伐により新たに形成された林冠ギャップを抽出できる可能性が示唆された。この方法では単木単位での間伐木の抽出はできないものの、間伐遅れ林分においても、間伐が行われたかどうかを把握することは可能であることが明らかとなった。
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