シロアリ類は、建築物の害虫として経済的被害が非常に大きい昆虫であるにもかかわらず、分類・分布という基礎的研究が遅れている。その要因としては、社会性昆虫である故に個体変異が大きく、飼育による交配累代実験が行えないなどが挙げられる。特に、ヤマトシロアリ属は日本では北海道から沖縄まで広く分布する重要な害虫であるが、外部形態が非常によく似ているために肝心の種名がわからない場合が多い。そこで、本研究では、まずDNA分析により遺伝的多型の検出と系統解析を行い、その結果を元に形態を比較した。それによって日本に広く分布するヤマトシロアリ属の種構成と分布が明らかになった。
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