研究課題/領域番号 |
15K07483
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
光田 靖 宮崎大学, 農学部, 教授 (30414494)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 地位指数 / スギ / ヒノキ / カラマツ |
研究実績の概要 |
宮崎大学田野演習林において現地調査を行い得られたデータを用いて、昨年度に開発したスギおよびヒノキの地位指数推定モデルを検証した。また、九州大学北海道演習林においても同様に現地調査データから、カラマツ地位指数推定モデルを検証した。検証の結果、スギおよびカラマツについては平均誤差が3 m以内に収まったが、ヒノキについては3 mを超える結果となった。 スギおよびヒノキについて九州および四国の地位指数分布図を作成した。現在の平均的気象条件を用いた現在地位指数分布と、温暖化環境下における温暖化地位指数分布図を作成した。スギについては温暖化条件下では地位指数が大部分で下降し、平均して3ポイントほど下がる結果となった。これは温暖化によって気温が上昇することにより、現在よりも呼吸による損失が大きくなることが原因であると考察された。温暖化による影響で地位指数が大幅に下降する場所を検索したところ平野部に近い場所が抽出された。そのような場所では、現在の気象条件ではやや良好な地位指数であるが、温暖化することによって地位指数が低く、スギ人工林に適さない場所となっていた。一方、ヒノキについても温暖化条件下では地位指数が下降する傾向にあったが、スギほど影響は大きくなかった。 スギおよびカラマツについて北海道を対象に地位指数分布図を作成した。スギの地位指数モデルは九州のデータを利用して開発したものであったため、公開が始まった森林生態系基礎調査のデータを利用して検証した。その結果、北海道のスギ地位指数推定においては誤差が大きいことが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、平成28年度においては現地調査を行ってえられたデータによって、開発してきた地位指数推定モデルの検証を行った。また、モデルを用いて現在地位指数分布図および温暖化地位指数分布図を作成した。しかし、検証の結果、一部においてモデルの精度が悪い部分があり、この点については引き続き検証および改良していく必要がある。このように一部に問題が残ったものの、概ね研究計画どおりに研究が進行している
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度の研究により、モデルの一部で想定していた精度よりも悪い結果となった。そのため、平成29年度においては早期にモデルの検証・改良に着手する。また、国が行う森林生態系生物多様性基礎調査のデータが公開されたことから、このデータを利用してモデルの改良を検討する。また、平成29年度は最終年度にあたるので、研究成果を広く公表するために学会発表を行う。具体的には海外で開催される2つの国際学会で発表を行う。また、そのうち一つでは国際誌で大会の特集号が発行されるので、これに論文を投稿する。
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次年度使用額が生じた理由 |
データの処理や解析について人件費を支払う予定であったが、十分な人員を確保できなかったため自分で解析を行う事になったため、予定の人件費を下回り余剰が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
余剰を活用して予定していなかった海外での国際学会における発表を行うことによって、研究成果を広く公表する。
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