研究課題/領域番号 |
15K07488
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研究機関 | 国立研究開発法人森林総合研究所 |
研究代表者 |
米田 令仁 国立研究開発法人森林総合研究所, 四国支所, 主任研究員 (00435588)
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研究分担者 |
田中 憲蔵 国立研究開発法人森林総合研究所, 植物生態研究領域, 主任研究員 (30414486)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | チーク / 湿潤熱帯 / 上層樹高 / 半島マレーシア |
研究実績の概要 |
熱帯地域において広く植栽されているチーク(Tectona grandis)は、降雨に季節性の無い湿潤熱帯気候であるマレーシアでは一般的に植栽に適していないと言われている。本研究では半島マレーシアにおいて植栽されたチーク人工林で毎木調査をおこない、これまでにタイで報告されてきたほぼ同齢のチーク人工林研究の結果と比較し、タイのチーク人工林よりも成長が劣るか明らかにした。調査はマレーシア半島部のPerlis州(36年生)、Selangor州(14年生)、Negri Sembilan州(46年生)、Malacca州(18年生)、Johor州(18年生)の計5カ所のチーク人工林に調査区を設定し、調査区内のチークについて胸高直径(DBH)、樹高(H)を測定した。タイでおこなわれてきた研究と比較した結果、平均DBHは、ほぼ同齢のタイのチーク人工林の林分の値の範囲内で中程度の値であった。平均Hはタイの同齢林分よりも低い傾向を示したが、林冠の上層高(DTH)で比較した場合は平均DBHと同様に同齢のタイのチーク人工林の林分の値の範囲内で中程度の値であった。間伐により小径木が少ないタイのチーク人工林に対して、マレーシアの林分では間伐などがおこなわれていないため小径木の出現が多く、平均Hの値が低くなったが、林冠高で比較するとタイのチーク人工林の林冠高と変わらないという結果になった。このことから、植栽不適地とされているマレーシアにおいても、今回調査をおこなった5林分の成長はタイ国内のチーク人工林と同程度と考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度は現地での交渉と調整に日程の多くを費やしたが、平成28年度までにマレーシア国内で計5カ所での調査を実施することができた。各調査地では調査区を設定し、毎木調査とサンプルの採集をすることができた。また、これまでの調査内容を学会で報告し、論文を一報発表することができ、概ね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
半島マレーシア内での調査区を増やすとともに、これまでに採集したサンプルの分析を始める。今年度が最終年度であることから、共同研究者、現地カウンターパートととりまとめについて、今後の研究の発展について協議する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度のマレーシアでの調査は、7月の出張の際にイスラム教の断食および断食明けの休みが重なり、希望通りの滞在日数がとれなかった。調査地への入林許可の関係から日程を変更することができず、短めの滞在となった。また、10月の予定していたマレーシアでの調査は、日本での業務とマレーシアのカウンターパートとの日程調整がつかず、年明けまで延期することとなった。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度は、イスラム教の断食および断食明けの休みが平成28年度よりも10日ほど前になるので、予定してる日程を組むことができる。また、既にマレーシアのカウンターパートにも日程の確認をとっており、希望通りの予定を組むことができている。また、平成28年度は日本で関わっているプロジェクトの最終年度であったことから海外出張に制限がかかったが、平成29年度では10月の海外調査も可能になる。
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