研究課題/領域番号 |
15K07490
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研究機関 | 国立研究開発法人森林研究・整備機構 |
研究代表者 |
田原 恒 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (70445740)
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研究分担者 |
西口 満 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (80353796)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 酸性土壌 / Eucalyptus camaldulensis / フトモモ科 / 加水分解性タンニン / 生合成経路 |
研究実績の概要 |
ユーカリ(Eucalyptus camaldulensis)は、強酸性土壌で問題となるアルミニウム過剰害に強い耐性を示す。我々は、ユーカリのアルミニウム耐性機構として、根に侵入したアルミニウムを加水分解性タンニンが無毒化するという新しい機構を発見している。加水分解性タンニンの含有を制御し、強酸性土壌で生育可能な高アルミニウム耐性植物を作出するには、加水分解性タンニンの生合成を遺伝子レベルで解明する必要がある。本研究は、加水分解性タンニン生合成の第1段階の反応であるβ-グルコガリン合成を触媒するUDP-グルコース:没食子酸 グルコース転移酵素の遺伝子をユーカリから単離することを目的とした。 ユーカリから単離した7種の候補遺伝子(EcUGT1~4)の発現を定量RT-PCR法によって解析した。なお、EcUGT1aと1b、EcUGT2aと2bは、それぞれ塩基配列の同一性が非常に高いため、発現を合わせて定量した。β-グルコガリン合成活性を示すEcUGT1a/bとEcUGT2a/bは、葉、茎、根のいずれでも発現しており、ユーカリにおける加水分解性タンニンの分布と一致していた。一方、β-グルコガリン合成活性を示さないEcUGT3a、3b、4は、主に葉や茎で発現し、根でほとんど発現しておらず、加水分解性タンニンの分布と異なっていた。ユーカリでは、アルミニウム過剰によって根で加水分解性タンニンの一種エノテインBの含有量が増えることが報告されている。しかし、アルミニウム過剰処理はEcUGT1a/bとEcUGT2a/bの発現に影響を与えなかった。以上の結果から、ユーカリでは、UDP糖転移酵素(UGT)84Aサブファミリーに属する4種の酵素(EcUGT1a、1b、2a、2b)が加水分解性タンニン生合成に前駆体であるβ-グルコガリンを恒常的に供給していると考えられた。
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