放射性セシウムの環境中の沈着量と山菜の可食部の濃度との間にはべき乗式で近似される関係があった。この関係を利用して、山菜の放射性セシウム濃度を予測するモデルを作成し、フキやコシアブラなど13種の山菜についてパラメータの値を求めた。他の280種の山菜で検証を進めた。19種の山菜について濃度の経年変化の傾向を明らかにした。これらの結果にもとづき、季節変化、経年変化を考慮した、山菜採取による汚染リスクの判定法を示した。
①春、秋など特定季節に採取する多くの山菜では、空間線量率や沈着量を環境中の放射性セシウム量の目安とし、上記モデルを利用して汚染のリスクを判定できる。②フキのように物質代謝が速く、夏も採取する山菜では、夏の濃度上昇のリスクに注意を払う必要がある。③経年的に濃度が下がる種が多いが、上がる種(コシアブラ、ヤマドリゼンマイ、ハナイカダ)、傾向が場所や年によってまちまちな種もあり、こうした違いには、種特性や生育地の環境条件の影響が及んでいると考えられた。
これらの成果は学会で公表するとともに、山菜に関する国や県、団体と協力して、関連事業の成果評価や新規試験の設計に活用した。
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