本研究では、スギ・ヒノキ人工林を対象に、プロットレベルの林分材積を低密度(1~4点/m2以下)の航空機レーザ計測データで準広域にスケールアップし(第一段階)、それを30m解像度のLandsat衛星画像で広域にスケールアップ(第二段階)する方法の開発に取り組んだ。 第一段階では、低密度の航空機レーザ計測データから林分材積を推定するために、地上調査した平均樹高と林分材積との関係をモデル化した後、航空機レーザ計測データから平均樹高を高精度に推定する方法をシミュレーションによって開発した。スギのある壮齢林でシミュレーションしたところ、5mの処理解像度の場合に、20m×20m、30m×30m、40m×40mのいずれの仮想プロットサイズでも平均樹高をRMSEで約30cm程度で直接的に推定可能であることが示された。テストエリア内の航空機レーザ計測データの平均樹高を30mグリッドで計算し、平均樹高を説明変数とするモデルを介して林分材積マップを作成した。 第二段階では、NASAが配信している大気補正済みの地表面反射率に変換されたLandsat衛星画像に対して、地形効果の補正を行った後、先の林分材積マップとの関係を機械学習でモデル化した。モデル化では、まずテストエリア内のスギ・ヒノキ人工林の中でも樹冠閉鎖している可能性の高い画素を約1500個抽出した。そのうちの300画素をランダムサンプリングして林分材積推定モデルを構築して推定誤差を算出し、残りの約1200画素をモデルの予測精度の検証に用いて予測誤差を算出した。この操作を100回繰り返して得られたモデルの推定精度と予測精度を最終的な精度の指標とした場合、Landsat衛星画像による推定誤差は、テストエリアの平均林分材積(約670m3/ha)の約20%程度であったことから、Landsat衛星画像の林分材積推定能力の高さが示された結果となった。
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