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2017 年度 実施状況報告書

β-1,6グルカンの酵素合成と特性解析

研究課題

研究課題/領域番号 15K07504
研究機関宇都宮大学

研究代表者

金野 尚武  宇都宮大学, 農学部, 准教授 (60549880)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2019-03-31
キーワードきのこ / β-グルカン / 糖質関連酵素
研究実績の概要

β-1,3/1,6-グルカンは真菌類や褐藻類等に含まれる多糖であり、一部は免疫賦活作用を示ことが知られている。しかし、β-1,3/1,6-グルカンの免疫賦活化メカニズムには不明な点が多く、受容体への結合様式や結合最小単位が明らかにされていない。真菌類のβ-1,3/1,6-グルカンは他の物質と複合体を形成しながら、不均一かつ複雑な構造で天然に存在している。そのため、天然多糖を用いると活性発現に重要な構造の特定が困難である。
H28年度までに、きのこ類(スエヒロタケおよびウシグソヒトヨタケ)由来のβ-1,6-グルカナーゼの合成酵素への変換に成功し、フッ化ゲンチオビオースを用いて糖転移活性を行うことができた。そこでH29年度は、β-1,6-グルカナーゼの活性中心をグリシン、アラニン、セリンにそれぞれ変換して得られた合成酵素を作成し、酵素合成生成物の分子量解析と培養細胞を用いた免疫賦活作用の解析を行った。
変異β-1,6-グルカナーゼのβ-1,6-グルカン合成能力を評価したところ、生成するオリゴ糖の種類や長さに違いが認められ、活性中心をセリンに変換した酵素において、最も高重合度の生成物が認められた(13糖)。また、合成したグルカンオリゴ糖の免疫賦活作用を評価するため、マウスのマクロファージ様細胞(RAW264.7細胞)を用いてTNF-αの発現量をリアルタイムPCRで解析した。酵素反応前の基質と比較し、反応6、48時間の方がTNF-α発現量が多かったことから、酵素合成物が高い免疫賦活作用を示すことが示唆された。また、比較対象として用いたβ-1,6-結合の2糖であるゲンチオビオースと比較して有意に高い作用が認められた。一方で、生成物の収量が低いことから、現在酵素反応の最適化と免疫賦活作用についての再現性を確認中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

変異β-1,6-グルカナーゼを用いた糖鎖合成に成功し、免疫賦活作用を持つことが示唆されたことから、機能性のβ-1,6-グルカンの人工合成に成功したと考えられ、当初の目的の達成に向けて順調に進展している。

今後の研究の推進方策

糖鎖合成酵素を作成できたが、生成物の収率が低いため、酵素反応に適した基質の選抜を進める予定である。β-1,3-グルカンオリゴ糖や、長鎖のβ-グルカンを酵素反応のアクセプターとして用いることで、糖鎖合成の効率化を目指す。

次年度使用額が生じた理由

H29年度は長期海外出張があったために、糖鎖の解析、機能性試験など、一部の予定していた実験ができなかったため、次年度に繰り越した予算を使用して実施する。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2018 2017 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [国際共同研究] Purdue大学(米国)

    • 国名
      米国
    • 外国機関名
      Purdue大学
  • [雑誌論文] The complete genome sequence and phylogenetic analysis of the mitochondrial DNA of the wood-decaying fungus Fomitopsis palustris2017

    • 著者名/発表者名
      Tanaka Yuki、Suzuki Tomohiro、Kurokura Takeshi、Iigo Masayuki、Toyama Fubito、Habu Naoto、Dohra Hideo、Konno Naotake
    • 雑誌名

      Genes & Genomics

      巻: 39 ページ: 1377~1385

    • DOI

      10.1007/s13258-017-0603-y

    • 査読あり
  • [学会発表] 褐色腐朽菌オオウズラタケ由来ペクチン分解酵素の探索(第2報)2018

    • 著者名/発表者名
      田中 裕基、金野 尚武、羽生直人、鈴木 智大
    • 学会等名
      第68回日本木材学会大会
  • [学会発表] SH203 株由来セロウロン酸分解酵素の遺伝子クローニング2018

    • 著者名/発表者名
      菊池雅子,藤井雄太,金野尚武,羽生直人,児玉 豊,鈴木智大
    • 学会等名
      第68回日本木材学会大会

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公開日: 2018-12-17   更新日: 2022-02-21  

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