研究成果の概要 |
きのこ類に含まれるβ-1,6グルカンは免疫活性化機能を持つ。本研究では純粋なβ-1,6グルカンを人工合成することを目的とした。きのこ類(スエヒロタケおよびウシグソヒトヨタケ)由来のβ-1,6-グルカナーゼの合成酵素への変換に成功し、フッ化ゲンチオビオースを用いて糖転移活性を行うことができた。酵素反応生成物の分子量をMALDI-TOF MSにて解析したところ5糖、6糖、7糖、8糖、9糖、10糖に相当するピークが得られた。このように、最長で10糖までの糖鎖(β-1,6-グルカン)を本酵素反応で合成可能であることが示された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
きのこ類に含まれるβ-1,6グルカンは免疫活性化機能を持つ。しかしながら、きのこ類からの単離・精製は困難であるため、純粋なβ-1,6グルカンが得られた例はない。β-1,6グルカンは生物の中で真菌類のみが唯一所有する分子あり、ヒトはβ-1,6グルカンを真菌類を認識する際の目印としている可能性がある。近年、食用きのこの大量栽培が可能になってきたが、消費量は伸び悩んでいる。本研究によってβ-1,6グルカンを、免疫に関与する新しい機能性食物繊維として提唱できれば、きのこ類に新たな価値を生み出すことができ、きのこ産業の活性化に繋がる。
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