研究課題
当初の計画においては,ナメコ由来の①ピルビン酸脱炭酸酵素遺伝子(PDC),②アルコール脱水素酵素遺伝子(ADH)等をナメコ野生株または変異株に導入し,過剰発現させることで,アルコール生産に対する効果を検証することにしていたが,過去2年間の研究成果,特に,アルコール脱水素酵素遺伝子,アルデヒド脱水素酵素遺伝子の発現解析の結果から,ナメコ由来のアルコール脱水素酵素,アルデヒド脱水素酵素には,そのアルコールに対する基質特異性が失われてしまっていることが,強く示唆されたため,当初の計画を変更し,パン酵母 Saccharomyces cerevisiae 由来のアルコールデヒドロゲナーゼ遺伝子とピルビン脱炭酸酵素遺伝子をナメコに導入する計画に変更した.計画の変更に伴い,組換え実験の安全に関わる学内審査を受ける必要性が生じたため,「アルコール発酵可能なきのこの作出」という実験計画として,鳥取大学遺伝子組換え実験安全委員会に申請し,その審査をパスした後に,本研究を継続した.パン酵母由来ADH 及びPDCをナメコ細胞内で発現させるために,ナメコ由来グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ遺伝子(GAPDH)のプロモーターからターミネーターまでの領域をクローニングし,そのオープンリーディングフレーム(ORF)すなわち,タンパク質をコードする部分を酵母由来 PDC または,ADHのORFと入れ替えることで,ナメコGAPDHプロモーター制御下で酵母由来 PDC または,ADH が発現するような,組換え遺伝子を作出した.これらを,カルボキシン耐性またはハイグロマイシン耐性マーカーをもったプラスミドベクターをマーカーとして共形質転換を行い,遺伝子を導入した.現在,得られた形質転換体の解析を行っているところである.
すべて 2017
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Mycoscience
巻: 58(3) ページ: 188-191
https://doi.org/10.1016/j.myc.2017.01.005