本研究では、日本酒(樽酒)等の保存(エージング)におけるスギ材成分と食品(飲料)成分の共存による反応生成物を解明することを目的とした。スギ心材の代表的な抽出成分であるセキリン-C等のノルリグナン類と主な日本酒の成分7種を組み合わせ共存させた溶液を用いてエージングを行った。セキリン-Cとアミノ酸の一種であるL-アラニンを組み合わせた溶液では、成分共存の影響が顕著であった。この溶液から生成物の分離・精製を行い、分析した結果、セキリン-Cの部分構造にL-アラニンが結合した物質を3種確認した。アミノ酸は日本酒の味に関わる成分であるため、樽酒のエージングにおけるセキリン-Cの味への影響が示唆された。
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