本州・九州・四国に定着している外来魚のティラピア類(カワスズメ科)の寄生虫検査を行った結果、鰓から以下の4種の単生類を得た(括弧内に採集県を示す):Gyrodactylus cichlidarum(鹿児島県、熊本県、三重県)、Cichlidogyrus thurstonae(鹿児島県)、Cichlidogyrus sclerosus(鹿児島県、熊本県、大分県、愛知県)、Cichlidogyrus tilapiae(鹿児島県、熊本県、愛知県)。第1種と第2種は日本から初記録であり、第3種と第4種の日本での発見例は沖縄県に続いて2度目である。被寄生魚種はナイルティラピアとカワスズメである。これら魚種はアフリカ大陸原産であり、種々の経路で日本に持ち込まれた後、工場の温排水や湧水によって水温が安定した場所に定着したと考えられ、それらに寄生する上記の単生類も宿主とともに他国から持ち込まれたと推測された。 日本の淡水域に広く定着している北米原産のサンフィッシュ科魚類3種(ブルーギル、オオクチバス、コクチチバス)の寄生虫に関して、わが国で1962~2017年に出版された文献をもとに、寄生虫目録を作成した。その結果、21種・亜種の寄生虫がこれら魚種に寄生していたことが判明した。これら寄生虫は、宿主とともに外国から持ち込まれた種と、わが国に古くから生息する種から構成されていた。 外来魚の寄生虫調査を行う過程で、カワイワシを岡山県から日本初記録として報告するとともに、栃木県渡良瀬遊水地にコウライギギの生息を認めた。
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