研究課題/領域番号 |
15K07534
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
脇田 和美 東海大学, 海洋学部, 准教授 (60734902)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 海洋生態系サービス / 価値 / 東シナ海 / 政策支持意欲 |
研究実績の概要 |
本研究では、利害が輻輳する自国周辺海域に対して住民が有する価値と、同海域への各種政策への支持意欲との因果関係を明らかにし、複数国間の利害が対立する海域の平和的かつ持続可能な保全と利用の実現に資する知見を提供することを目的としている。 3年間という研究期間のうち1年目にあたる平成27年度は、日本・中国・韓国の3カ国が面する東シナ海について、各国在住者が有する価値と、東シナ海に関する利用や保全といった各種政策に関する支持意欲を把握するためのWebアンケートの設問設計を行い、部分的にアンケートを実施した。 アンケートの設問設計にあたっては、申請者らによる一般的な海(公海)の海洋生態系サービスに対する日本人の価値に関する研究実績を基礎とし、あわせて、文化的・哲学的背景が人の価値観や政策支持意欲の形成に与える影響についての既往研究をレビューすることにより、設問内容の充実を図った。また、設問文の具体的な作成にあたっては、中国・韓国の研究協力者および連携研究者と対面形式の議論を集中的に重ねることにより、当初計画よりも早期にアンケートの設問項目を完成させることができた。そのため、平成27年度内での部分的なアンケート実施が可能となった。 なお、本研究では人と自然の関わり方がアジアとは大きく異なるヨーロッパについて、英国・仏国在住者のイギリス海峡に対する価値と政策支持意欲を把握するためのWebアンケート調査を平成28年度に実施予定であり、平成27年度は英国・仏国研究者とメールベースでの議論を行い、設問内容の検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初計画では、平成27年度にアンケートの設問項目の作成までを完了する予定だった。しかし、中国および韓国の研究協力者らとの対面形式での議論が当初計画以上に集中的かつ活発に進み、予定よりも早期にアンケートの設問項目を確定することができた。そのため、当初計画では平成28年度に実施予定だったアンケートの一部を、平成27年度内に実施することができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は、平成27年度に実施したアンケート結果の分析を進めるとともに、東シナ海沿岸各国在住者に対するWebアンケート調査を完了し、結果の分析を行う。これにより、日本・中国・韓国の3カ国在住者が東シナ海に対して有する価値や、東シナ海に関する各種政策支持意欲を比較し、それらに影響を与える要因を明らかにする。あわせて、イギリス海峡に対する英国・仏国在住者の価値と各種政策支持意欲との関係性を明らかにするためのWebアンケート調査の実施に向け、両国研究者との議論を集中的に行い、アンケート調査の実施および結果の分析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
東シナ海沿岸各国在住者に対するWebアンケート調査をすべて平成27年度内に完了する方向で進めていたが、Webアンケート調査会社とのスケジュール調整等の事情により、一部を平成28年度に実施することとなったため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額を利用し、東シナ海沿岸各国在住者に対するWebアンケート調査を完了し、結果の分析を進めていく予定である。さらに、イギリス海峡に対して英国・仏国在住者が有する価値と各種政策支持意欲との関係性を明らかにするためのWebアンケート調査を実施予定であり、Webアンケート調査会社への委託費用、および分析に必要な諸費用として研究費を使用する予定である。
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