研究課題
基盤研究(C)
個体数減少が懸念されているスナメリの九十九里~鹿島灘個体群を対象として,個体群動態の面からの個体群健全性を評価した.出生率(新生子割合の年間最大値)は調査を行った4年間で10%を上回ることはなく,個体群増加に十分な数の子が生まれているかを判断できなかった.対象海域とりわけ発見の多い利根川周辺ではにごりが強いことがあり,新生子見落としが生じ,出生率を過小評価している可能性があった.本個体群の出産は3月にすでに始まり,盛期は5-7月と考えられた.
鯨類個体群動態、水産資源解析学
沿岸性鯨類スナメリは国際自然保護連合により絶滅危惧種に指定されている.東日本太平洋側に分布する本種の個体群は東日本大震災の後に個体数の減少が指摘されている.さらに本個体群は少なくとも2つの個体群に分割すべきとの見解が示されている.本研究は,九十九里~鹿島灘個体群の存続可能性を新生子割合の把握に焦点をあてた調査から検討しており,スナメリの保全を直視している.