日本の河川・湖沼には外国から導入されたコイが蔓延しているが、琵琶湖の沖合深層には例外的に高頻度で日本在来コイが残存している。琵琶湖で在来コイが残存している理由のひとつとして、深場での効率的な遊泳能力など沖合深層への特異な適応が予想される。そこで本研究では、動物装着型の行動記録計を装着したコイの沖合放流により、導入コイと在来コイの沖合深層における遊泳行動の違いについて調べた。11個体から得られたデータを解析した結果、在来コイは深層と表層を頻繁に行き来し、深層から浮上した後でも中性浮力を失なわない一方で、導入コイは一度水深約40m以深に行くと浮力を失い、湖底から浮上できにくくなることが判明した。
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