ワクチン効果が低下した非定型レンサ球菌の出現と新規ワクチン開発に関する研究 1);疫学調査の結果、非凝集レンサ球菌(血清型II型)は、2015年よりリンコマイシン耐性菌が養殖場に拡大してきていることを明らかにした。また、ブリ、カンパチの養殖場に広がりを見せており、近年分離される菌の多くがリンコマイシン耐性であることを示した。さらに、分離される菌株はBSFGE解析の結果、単一の遺伝型を示す菌株の拡大を示しておりclonal expansionによる養殖場拡散を明らかにした。 2);ゲノム解析によりリンコマイシン耐性菌は、ABC輸送体遺伝子であるlsa-like遺伝子に1塩基変異を見いだした。この1塩基変異がリンコマイシン耐性に関与している可能性を見いだした。感受性菌では、ストップコドンであるのに対して、耐性菌では1塩基の変異によりlsaタンパク質が発現していると考えられた。また、人為的リンコマイシン耐性菌にも同様に同じ部位に1塩基変異が生じていた。 3);血清型II型の菌株を作製し、養殖ぶりに免疫をした場合、II型菌株の感染に対して防御が誘導された。よって、ワクチンの可能性を示すことで、従来株との2価ワクチンの可能性を示した。 4);血清型I型菌株(従来型)とII型菌株を識別する、PCR診断を開発した。現在では、この手法が、診断現場で使用されている。 5);2017年では、ブリ、カンパチだけではなくさらに、ヒラマサおよびシマアジの感染が確認された。II型菌株の拡大が疫学調査の結果、判明した。また、少なくとも7件の養殖場においてII型菌株の感染が確認された。
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