3種類の口白症関連RNA(kuchijirosho associated RNA: KAR)、KAR-A、KAR-B、KAR-Cの全長配列を決定した。それぞれ、1581塩基、1791塩基、1410塩基である。全てのKARの3'末端付近には、Aが3~5塩基連続する配列が存在する。演繹アミノ酸配列に相同性の高いタンパク質はBLAST検索から得ることはできなかった。SWISS PLOTプログラムによる 高次構造予測から、KAR-AとKAR-Bはウイルスのポリメラーゼ、KAR-Cはアルギニンキナーゼと一部の構造が類似していることが推測された。ウイルスタンパク質の中で量的に最も多いと予測されるカプシドタンパク質は推測されなかった。 KARの検出感度を上げるため、KAR-A、KAR-B、KAR-Cが二本鎖であると仮定して、それぞれに特異的な塩基配列のフォワードとリバースの両者をプライマーに用いて逆転写し、約100bpを増幅するPCRプライマーを使ってPCRしたところ、高感度でKARを検出することができた。これらのプライマーを用いて定量RT-PCRを行い、実験感染後の脳内KAR量を経時的に測定したところ、接種2日後から7日にかけて急激に増加することがわかった。8日目からは死亡する個体が現れたが、まだ生きている個体の脳内KAR量はさらに増加していた。量とその推移は3つのKARとも同等であった。これらの結果から、口白症の症状はKAR量と相関していることがわかった。 ワクチンを開発するため、口白症ウイルスを接種したトラフグ卵巣初代培養をホルマリン処理してトラフグに注射したとここ、炎症性サイトカイン類の上昇は認められたものの、口白症ウイルスの攻撃接種に対する防御効果は得られなかった。
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