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2015 年度 実施状況報告書

低コストでの安定生産を目指した有用海藻マツモの人工種苗生産システムに関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 15K07560
研究機関北里大学

研究代表者

難波 信由  北里大学, 海洋生命科学部, 准教授 (20296429)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード褐藻マツモ / 保存株 / 人工種苗生産 / 凍結保存 / 塩素殺菌 / 養殖
研究実績の概要

平成27年度は以下の研究を実施した。
1.「保存株の増殖技術の開発」:現在確保しているマツモ保存株を構成する糸状細胞と細胞塊を単離した後、水温5~25℃、光量25~200 μmol/m2/sの条件下で両者の増殖速度を比較した。その結果、両者の増殖速度に対して光量は大きな影響を与えなかったが、水温による差は大きく、15~20℃の条件下で高い増殖速度を示した。従って、マツモ保存株の効率的な増殖を実現できる最適増殖条件は水温15~20℃、光量25~200 μmol/m2/sの範囲であることが明らかになった。
2.「塩素殺菌法を用いた人工種苗生産技術の開発」:ろ過海水に遊離塩素濃度1、3 mg/Lの次亜塩素酸カルシウムを添加した後、チオ硫酸ナトリウムにより塩素を中和した2つの塩素殺菌実験区と、煮沸殺菌実験区(対照区)を設定し、種苗糸にマツモ保存株の細片を散布して、水温15℃、光量100 μmol/m2/s、通気(流速20 cm/s)の条件下で13週間培養した。その結果、5週間後にはすべての実験区で直立体の主軸が形成され始め、培養後の主軸の密度と長さには対照区と、2つの塩素殺菌実験区の間で差はなかった。さらに、実験に用いた海水のpHと塩分にも実験区間で差はなかった。従って、種苗である直立体主軸の形成や生長、そして、培養海水の水質に対して塩素殺菌による悪影響がないこと、すなわち、塩素殺菌法を用いた本種の人工種苗生産が可能であることが示された。
3.「人工種苗からの養殖藻体の作成」:前述2で作成した人工種苗を用い、岩手県越喜来湾の養殖実験施設において2015年11月から養殖藻体(直立体)の作成を試みた。その結果、2016年3月には主軸長10~20cmのマツモ直立体を作成することができた。従って、マツモ保存株から作成し、塩素殺菌法を用いた人工種苗が、養殖種苗として使用可能であることが示された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

平成27年度は、【研究実績の概要】に記した1.「保存株の増殖技術の開発」、2.「塩素殺菌法を用いた人工種苗生産技術の開発」に関する研究に加えて、「液体窒素を用いた保存株の凍結保存技術の開発」に関する研究の実施を計画していたが、この研究を実施するに至らなかった。一方、来年度実施予定であった「人工種苗からの養殖藻体の作成」に関する研究を実施することができたため、進捗状況を「やや遅れている」とした。

今後の研究の推進方策

平成28年度には、前年度に行えなかった「液体窒素を用いた保存株の凍結保存技術の開発」に関する研究を実施する。一方、当初の計画よりも進展している「人工種苗からの養殖藻体の作成」に関する研究はこのペースで進め、他の研究については研究計画に従って遂行する。

次年度使用額が生じた理由

【現在までの進捗状況】に記したように、平成27年度に「液体窒素を用いた保存株の凍結保存技術の開発」に関する研究を実施するに至らなかったため、次年度使用額が生じた。

次年度使用額の使用計画

平成28年度における「液体窒素を用いた保存株の凍結保存技術の開発」に関する研究の実施に次年度使用額の多くを使用する。また、当初の計画よりも進展している「人工種苗からの養殖藻体の作成」に関する研究に対しても使用する予定である。一方、他の研究については計画に従って交付金を使用する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2016

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 塩素殺菌法を用いた褐藻マツモの人工種苗生産2016

    • 著者名/発表者名
      篠塚美佐希・難波信由・藤原孝行・加戸隆介
    • 学会等名
      日本付着生物学会
    • 発表場所
      東京海洋大学(東京都港区)
    • 年月日
      2016-03-30

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公開日: 2017-01-06  

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