本研究は、魚類への苦痛を抑える麻酔の探索をおこなうとともに、得られた成果を魚類生産現場に普及させることをめざしておこなわれた。ティラピアとトラフグにタブレット型炭酸ガス発泡剤と市販麻酔であるオイゲノールをもちいたところ、ストレス指標は高濃度タブレット型炭酸ガス発泡剤にて低値を示した。通し回遊魚をもちいて麻酔実験をしたところ、タブレット型固形炭酸ガス発泡剤は淡水産卵回遊魚では淡水、海水産卵回遊魚では海水で麻酔に罹りやすいことが示された。以上の結果、タブレット型炭酸ガス発泡剤はオイゲノールよりストレスを低減させる可能性が推察され、通し回遊魚は産卵域の水で炭酸ガス麻酔に懸りやすいことが示唆された。
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